欠勤の連絡をするときなど、「お休みさせてください」「お休みさせていただけますでしょうか」と、自分が休むことについて「お休み」という言葉を使う人がいますが、この言葉は敬語として適切なのかどうか考えてみたいと思います。
「お休みさせてください」の「お」は必要かどうか、誤用ではないか、敬語として適切かどうか
「お休みさせてください」という行為は誰が行うものなのか、まずはその点を考えてみましょう。
「お休みさせてください」という表現は不適切
「お」を付けて自分の行為を高めることは誤り
「お休みさせてください」の「お」は自分の行為を高める尊敬語になっているので不適切な表現です。
「お」は、相手を高めるときに使う尊敬語。「お休みさせてください」という表現の場合、行為主は本人となりますので、自分自身を高めることになってしまい誤りです。
正しくは「休暇をいただけますでしょうか」「休ませていただけますでしょうか」とします。
働き方革命という流れも強くなってきていますので、休みは休みとして主張すれば良い。「休暇をいただけますでしょうか」ではなく「休みます」と言い切ってしまって何が問題なのだ……という向きもあるかもしれませんが、コミュニケーションは相手に「はい」と言ってもらえるような流れを作ることで円滑に進みます。
「休みをいただけますでしょうか」という、相手からのイエスを前提とした問いかけは上手に使えるようにしておきたいですね。
「お電話します」というときに使う「お」も不適切なのでしょうか?
自分自身の行為を高めるのに「お」を用いるのは不適切。
ならば「お電話します」という表現も不適切なのではないかという考え方が成り立ちます。
ところがこの場合の「お電話」という表現は誤用ではありません。
「お電話します」「お電話」は正しい表現
先ほどの「お休み」は自分の行為でした。この「お電話」も自分の行為にはなるのですが、電話という行為には相手方を必要とします。
「お休み」と「お電話」の場合とで、大きな違いとなるのは、自分だけが行為主となるのか、その行為の影響が相手に及ぶかどうかという点です。相手に影響が及び、相手方を必要とする行為で、相手を尊敬の対象として高める場合は「お」をつけて表現したとしても、誤用とはなりません。
「お」をつけて誤りでないかどうかは、行為が相手に影響を与えるかどうかがポイントになります。
「おやすみなさい」の「お」は誤用ではないのか
欠勤をすることについては自分だけの問題になりますが、これが、夜寝る前の「おやすみなさい」という表現になるとどうでしょうか。
「おやすみなさい」という言葉は、「自分も寝ますのでどうぞおやすみになってください」という意味があります。つまり、自分が寝るということだけを伝えて言っているのではなく、相手にも休んでほしいという気持ちを伝えているわけですね。
さきほどお伝えした通り、相手方を必要とする行為の場合は「お」をつけても誤用ではありません。「おやすみなさい」の「お」は相手を気遣って伝えている言葉なので、誤りではないということになります。