*

命あっての物種 ~「命あってのものだね」は諺だった

「早く秋になってほしいものだね」という表現には何の説明も必要ないと思いますが、「命あってのものだね」という言葉の語尾に使うものだねを物種と書くということは意外に知られていないようです。「物だ+ね」ではありませんので、「命あってのものだねぇ~」という書き方(声の出し方)をしてしまうと誤りということになりますね。

「命あっての物種」という諺

綿毛

命あっての物種(ものだね)は諺。物種には「物事のもととなるもの」という意味があります

命あっての物種(ものだね):
どんなことも命あればこそ出来る。
命を軽んじることなく、まずは生きることを選び、
大切にしていこう

頑張りすぎてしまう人が周囲にもいるのではないでしょうか。そんなとき、私たちの多くは「無理をしないようにね」という月並みな言葉しか浮かばなかったりするものですが、こういう諺を用いて先人の知恵を伝えてみるのもいいかもしれません。

「あした咲くための今日の命、今日の種だよ。命あっての物種、休むことだって大切」

物種は季語でもある

命あっての物種と同じ意味の言葉に「命に過ぎたる宝なし」「死んで花実が咲くものか」というものがあります。また、種という言葉からもわかる通り、「これから」を連想する物種は春の季語でもあります。

 ものの種にぎればいのちひしめける / 日野草城

種は静的な存在ではありますが、大きな可能性・エネルギーを秘めています。爆発前夜、夢を見ることが出来るのも今日の命あってこそ。どうかそれぞれの「物種」を大切にしてほしいものです。


▼関連の深いこちらの記事もどうぞ▼

関連記事

気が置けない相手はどんな人? ~気の許せない相手との違い

気が置けないという表現も、本来の意味から間違って使われていることが多いような気がします。 ・彼

記事を読む

「割愛する」には不要なものを省略するという意味はなかった ~「割愛」の誤用と正しい意味と

「時間の関係で、この部分の説明は割愛させていただきます」 プレゼンや会議などで、こんなフレーズ

記事を読む

カタカナを日本語にするだけで得られるコミュニケーションの効果

iPhoneの無料アプリ「サラリーマン川柳」で想像力のトレーニングをする!では上手な文章は引き算にな

記事を読む

「破天荒」の誤用と正しい意味と ~実は褒め言葉だった「破天荒」

破天荒という漢字のイメージから「めちゃくちゃ」「豪快」「型破りである」という否定的な意味合いで使われ

記事を読む

どっちが正解?「笑顔がこぼれる」と「笑みがこぼれる」 ~「笑」と「咲」の漢字の由来

チーム一丸となって勝ち抜いた。さて、その優勝の喜びにこぼれるのは「笑顔」でしょうか「笑み」でしょうか

記事を読む

文化庁

十分と充分の違い、使い分け ~憲法では「充分」を使っているけれど

十分と充分という漢字も使い分けが難しいですよね。憲法では「充分」という漢字が使われています。

記事を読む

マクドナルドのドライブスルーに求めるもの 〜お客さんは何を期待しているか

商品やサービスに対する期待値を上げることは大切。たとえばお店の外観、メニュー、パッケージ。それらすべ

記事を読む

自己啓発本ブームに殺されないために「使ってもいい」自分を許す言葉

「起こることには意味がある」 「すべてのことは自分に原因がある」 などなど。

記事を読む

no image

主張のなかの「ありがとう」に、人の器を見た。

「自分はこんなにすごいんですよ、自分はこんなに頑張ったんですよ」 そんな風に伝えたくなるようなとき

記事を読む

「敷居が高い」の本来の意味と誤用 ~レベルが高い、自分には合わないという意味ではない

雰囲気の良いお店などを見つけたとき「あのお店は敷居が高すぎて入るのを躊躇してしまう」という表現をする

記事を読む

Google


▼よく読まれている記事▼


kokkaigijidou
更迭(こうてつ)、解任、辞任の意味の違いと使い分けについて ~クビにするのはどの言葉?

たとえば大臣が不祥事を起こしたりすると、「首相はA大臣を更迭(こうて

「老舗(しにせ)」という言葉の意味と由来を紹介します

代々続いているお店のことを「老舗(しにせ)」と言いますが、今回はこの

kaifuku
「回復」と「快復」の意味の違いと使い分け ~快復と書いてしまうと誤用になってしまうのか

この記事を書いている今、実は頸椎間板ヘルニアで苦しんでいて、リハビリに

bankokuki
「万端」と「万全」の意味の違いと使い分け、誤用について ~「準備万端」と「準備万全」、正しいのはどっち?

「旅の用意は全部できたよ、さぁ出発しよう!」 このように、あらゆ

tenteki
「お休みさせてください」「お電話します」の「お」は必要かどうか、誤用ではないか、敬語として適切かどうか考えてみよう

欠勤の連絡をするときなど、「お休みさせてください」「お休みさせていただ

→もっと見る

PAGE TOP ↑