*

「高い席から失礼かと存じますが」「僭越ながら」と言ってはいけない理由 ~挨拶やスピーチで注意すること

挨拶は上品に

挨拶は上品に

壇上、スピーチなどを頼まれた人がよく「高い席から失礼します」という挨拶をされるのを聞く場面がありますが、これはあまりに不遜な表現。

なぜ「高い席から失礼かと存じますが」は不遜な表現になるのか

謙遜の意味で「自分のような人間がこのような高い位置からご挨拶を申し上げますのは…」と言うのは、ほかの人たちが低い席にいると言っているのと同じことになってしまいます。高い・低いのように、対になる表現がある言葉を慣用的に使うと、相対的な相手の地位の低さなどを認めてしまうことになるので注意が必要です。

簡潔に「ひと言ご挨拶させていただきます」という言い方で始めるのであれば問題ありませんね。

「僭越ながら」も不遜な表現になりがち

僭越ながらという表現も注意が必要です。

「僭越ながら」とは身分や権限などを越えて、差し出がましいことをすること

謙虚さを示す表現、この言葉は「本来自分がここで挨拶をするべき立場ではないのだけれども」という意味になります。しかし、実際はスピーチや挨拶をされる方は、それ相応の立場・肩書きであることがほとんどなのです。

会社創立50周年パーティーの席で、その創業者や社長を差し置いて、昨日入社したばかりの社員さんが挨拶をされるのであればこの表現は使っても構いません。しかし、会社を代表するような、当然に挨拶を行うべき立場の人間がこの表現を使うことは、聞き手に対して不遜な印象を与えます。

「せんえつ」という音の響きから「ご出席の皆様より、先にご挨拶を」「皆様の順序を越えてご挨拶を」というニュアンスで勘違いされることも多いようですが、「僭越ながら」という表現は、あくまで自分の立場・身分に照らし合わせて使う表現。かえって自分の威光を示すだけの嫌味な使い方になってしまわぬようお気を付けください。

結婚式の挨拶やスピーチで気をつけるべきこと《まとめ》

末長く二人の幸せを祈ってはいけない理由 ~長いと永いの違い | コトバノ

「ご多忙のところ」は使わない方が無難 ~多忙と多用の使い分け | コトバノ

結婚式などの祝いの席で挨拶やスピーチ、司会で使ってはいけない忌み言葉一覧 | コトバノ

「不肖(ふしょう)」という言葉の意味と使い方に要注意! | コトバノ
「不肖(ふしょう)」という言葉は、「不肖山田太郎、一生懸命務めさせていただきます」という風に「私のような未熟な人間ではありますが」という謙遜のニュアンスで用いられます。ただ、この「不肖」という言葉は使 …


▼関連の深いこちらの記事もどうぞ▼

関連記事

命あっての物種 ~「命あってのものだね」は諺だった

「早く秋になってほしいものだね」という表現には何の説明も必要ないと思いますが、「命あってのものだね」

記事を読む

wakaba

初夏の時期っていつからいつまで? 「初夏の候」という挨拶を使っていい時期と「立夏」との意味の違いについて。2018年の立夏はいつ?

「初夏の候、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」ですとか「今日はまるで初夏の陽気」という風に使われ

記事を読む

「請う」と「乞う」の違いと使い分け ~乞うご期待か請うご期待か

「許しを請う(こう)」「教えを乞う(こう)」などで使われる「請う」と「乞う」はお願いをするときに使わ

記事を読む

「ご清栄」と「ご盛栄」の違いと使い分け ~申し上げるのは「お喜び」か「お慶び」か

手紙文の書き出しで用いられる「ご清栄」と「ご盛栄」。 「拝啓 陽春の候、貴社におかれましてはま

記事を読む

no image

スネ夫くんが好かれない本当の理由。

  他を蔑むことが差別化なのだとすれば。 こちらの記事のなかで他を蔑んでまで、自分

記事を読む

「下さい」と「ください」の意味の違いと使い分け ~英語にすると区別しやすい!

「神戸のコピーライターです、言葉や表現のお仕事がありましたらご用命ください」と書くとき、この「くださ

記事を読む

「欲張りメニュー」という言葉の使い方に注意! ~「欲張り」と「貪欲」の違い

レストランのメニューを眺めていてもなかなか決めることが出来ない優柔不断な自分にとって、「欲張りコース

記事を読む

結婚式のタブー、使ってはいけない言葉 ~挨拶やスピーチで使ってはいけない忌み言葉一覧

結婚式などの祝いの席では「終わり」や「繰り返し」を連想させるような忌み言葉を使ってはいけないとされて

記事を読む

no image

過去形で残すことのメリット ― 自分の目次を作ると、自分の強みが見えてくる。

始まりに「これをやるぞー」と目標を立てたものの、たいていは中途半端。 目標とは挫折を伴うものです

記事を読む

headposition

「頭が下がる」と「頭が上がらない」って同じ意味!? ~「頭が下がる」と「頭が上がらない」の意味の違いと使い分け、誤用について

「頭が下がる」と「頭が上がらない」は、その動作状態を想像する限りは同じような印象を受けますが、実際は

記事を読む

Comment

  1. […] ◆ 「高い席から失礼かと存じますが」「僭越ながら」と言ってはいけない理由 ~挨拶やスピーチで注意すること ( via コトバノ ) […]

Google


▼よく読まれている記事▼


kokkaigijidou
更迭(こうてつ)、解任、辞任の意味の違いと使い分けについて ~クビにするのはどの言葉?

たとえば大臣が不祥事を起こしたりすると、「首相はA大臣を更迭(こうて

「老舗(しにせ)」という言葉の意味と由来を紹介します

代々続いているお店のことを「老舗(しにせ)」と言いますが、今回はこの

kaifuku
「回復」と「快復」の意味の違いと使い分け ~快復と書いてしまうと誤用になってしまうのか

この記事を書いている今、実は頸椎間板ヘルニアで苦しんでいて、リハビリに

bankokuki
「万端」と「万全」の意味の違いと使い分け、誤用について ~「準備万端」と「準備万全」、正しいのはどっち?

「旅の用意は全部できたよ、さぁ出発しよう!」 このように、あらゆ

tenteki
「お休みさせてください」「お電話します」の「お」は必要かどうか、誤用ではないか、敬語として適切かどうか考えてみよう

欠勤の連絡をするときなど、「お休みさせてください」「お休みさせていただ

→もっと見る

PAGE TOP ↑