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十分と充分の違い、使い分け ~憲法では「充分」を使っているけれど

文化庁
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十分と充分という漢字も使い分けが難しいですよね。憲法では「充分」という漢字が使われています。

日本国憲法
第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

引用元:日本国憲法第37条 – Wikipedia

十分と充分はどちらを使うべきか

結論からいえば、いまは、十分と充分どちらを使っても問題がない(間違いではない)という解釈が増えつつあるようです。結論と書きながら語尾を曖昧にしたことには理由があります。

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充分という漢字は十分のあて字で、「十」は字画も少なく教育漢字。「充」は教育漢字ではありません。漢字の発生した経緯やそういった事情からも、本来は「十分」を使うことが好ましいというのが文化庁の考え方です。ただ、漢字の使われてきた歴史のなかで充分という字も一般化しているため、公用文などでは「じゅうぶん」というかな書きを採用するようにになってきています。文化庁では、本来の意味はこうであるというものを示しつつも、時代の変化には柔軟に対応する、またはかな書きにすることで曖昧さを回避する方法を採ることが多いんですね。

十分と充分、使い分けの傾向

一般に良くみられる「十分」と「充分」の使い分けの話。

数量的な意味合いでの「じゅうぶん」の場合は「十分」を。精神的な充足を意味する場合は「充分」を使っていることが多いようですね。

たとえば「お腹いっぱい食べました」の場合は「十分」ですが、「こんなにおもてなしをしていただいて、じゅうぶんなことをしていただきました」という精神的な満足を伴う場合は「充分」を使うケース。傾向としては、そんな違いがあるような気がします。ただしこれはあくまでも私の主観によるもの。面倒な理屈をなしに覚えるならば充分は使わず、十分を使うとしておいた方が良さそうです。

教育漢字とは

別表 学年別漢字配当表:文部科学省

小学校の6年間のうちに学習するものとされている漢字のことで現在は1006字がそれに相当します。