働き方革命が進み、副業(複業)を認める会社も増えてきました。
たとえば昼間は会社勤め、夕方からはクリエイターとして活躍するなど、いくつかの仕事立場を兼ねることを「二足の草鞋(わらじ)を履く」と表現することも多いと思いますが、今回はこの「二足の草鞋(わらじ)を履く」の意味と誤用について紹介します。
「二足の草鞋(わらじ)を履く」の元々の意味を知って誤用に注意しよう
昼間は工場で働き、夜は独立したデザイナーとして仕事をしているAさん。
Aさんはそんな自分のことを「いずれデザイナーだけで仕事をしていきたいと考えていて、今は二足の草鞋(わらじ)を履いています」と自己紹介をします。さて、こういった自己紹介の場面での「二足の草鞋(わらじ)を履く」という表現に誤用の可能性はあるでしょうか。
二足の草鞋は同時には履けないもの
同一人が両立しにくいような二種の職業や労務を兼ねることを意味する
二足の草鞋を履くとは、同一人が両立しにくい二つの立場を兼ねているという意味になります。
江戸時代、ばくち打ちが捕吏(取り締まる側)を兼ねていたことがあり、これを「二足の草鞋を履く」と呼んでいました。つまり元々は、両立することは難しい、または両立することがあってはならないものを指す表現だったのです。最近では原義は薄れ、二つの立場を兼ねることを二足の草鞋を履くと言っても誤りではなくなりつつありますが、受け取る相手によっては、中途半端な仕事をしているという印象を与えてしまう可能性もあります。
「二足の草鞋(わらじ)を履く」を置き換える自己紹介の方法は?
複業という難しい立場を両立しようとしているのですから、その姿勢を、否定的な意味で受け止められてしまうはもったいないですよね。こういった場合での自己紹介は、その積極的な想いと立場を率直に伝えた方が印象も良いでしょう。
×「昼はサラリーマン、夜はデザイナーとして二足の草鞋を履いています」
〇「仕事の終わったあとは、デザイナーとして研鑽を重ねる毎日です」
◎「サラリーマンをしながらも、デザイナーとしての可能性を模索しています。職場の方にも応援していただいて、感謝しています」
複業(副業)に対しては、すべての人が好意的な受け止め方をするわけではありません。特に、本来の立場(職業)が疎かになっているのではないか、隠してやっているのではないかという見方をする人も存在します。
そういう否定的な意見に対応するためには、自分の立場や周囲の理解をオープンにしてしまう方が好印象であると言えるでしょう。「理解してもらっている」「その応援に感謝している」という言葉を添えた自己紹介をすることをオススメします。