日本の童謡『雪』。この歌の「雪やこんこ霰(あられ)やこんこ」という歌い出しは馴染みが深いところですが、雪はしんしんと静かに降り積もるもの。「雪がこんこ」と音を立てて降るというのはどういうことなのでしょうか。
雪やこんこ霰(あられ)やこんこの「こんこ」は雪の降る音を表しているのではない
「雪やこんこ」の「こんこ」という表現。実はこれは雪がこんこという音を立てて降る様子を表しているのではありません。
童謡『雪』の「雪やこんこ」の「こんこ」とは雪が降る音を表しているのではなく、「雪よ来む来む」と雪を呼ぶ様子を表現している
雪やこんこの「こんこ」とは「来む来む(こむこむ)」が語源、つまり「雪よ来なさい降りなさい」という雪を呼ぶ様子を表現しています。
雪やこんこ 霰やこんこ
降っては降ってはずんずん積もる
山も野原も綿帽子かぶり
枯木残らず花が咲く
雪やこんこ 霰やこんこ
降っても降ってもまだ降りやまぬ
犬は喜び庭駈けまわり
猫はこたつで丸くなる
ずんずん積もるを「積もれ」とイメージし、まだ降りやまぬを「降りやむな」と呼びかけているのだと想像してみてください。そう、この曲の世界観は雪が降り続いている状況をただ叙景しているのではなく、そうなってほしいという願望も含まれているのだと考えれば、銀世界に強く憧れる作詞者の想いに触れることができるのです。
『雪』の作詞作曲者は不明となっていますが、もしかすると、雪国の人ではなく、雪に憧れる想いのままにこの詞を書いたのかもしれないという想像を楽しんでみるのも面白いですね。
言葉の解釈と作曲者に関する諸説
なお『雪』の歌詞である「雪やこんこ」の部分については「来む此(ここに降れ)」であると考える説、また、『雪』の作曲者については『家路(遠き山に日は落ちて)』などで知られるドヴォルザークであるという説もあります(『聖書の歌第10番』の前奏と似ている)。
童謡を歌うことにはリラグゼーション効果のほか、脳の活性化、集中力の向上など様々なメリットがあると言われています。原点回帰、心の疲れたときほど、優しく懐かしいメロディに触れて気持ちを柔らかくして過ごすようにしたいですね。