「許しを請う(こう)」「教えを乞う(こう)」などで使われる「請う」と「乞う」はお願いをするときに使われる表現。請うと乞うの違いと使い分け、そして区別する方法の覚え方についてご紹介します。
「請う」と「乞う」の違いと使い分け
「まもなく上映開始、乞うご期待!」という風に使われる「請うと乞う」ですが、「請う」と「乞う」の違いは自分がするか相手がするかという点で区別するとわかりやすいでしょう。
「請う」は自分がすることの許可を願うこと。
「乞う」は相手にしてほしいことを頼むこと。
「請う」は自分がすることを許してほしいと願うことで、「乞う」は相手にしてほしいと頼むこと。
たとえば「乞うご期待(こうごきたい)」という表現は、相手に期待という状態(動作)をお願いしています。期待をするのは相手、だから「乞う」を使う。それに対して「許しを請う(ゆるしをこう)」という表現は、自分が何かを行うことの許可を願っています(許された次に動作を行うのは自分自身)。許可を得るというのは自分が何かをするためなので「請う」を使うことになります。
「請う」と「乞う」を区別する覚え方 ~許可申請という言葉で覚える
「請う」と「乞う」を区別するために「許可申請」という言葉を覚えておくと便利です。
お伝えしている通り「請う」は自分がすることの許可を願うこと。「許可申請」という言葉には「許可」も「請」という字もあるので、役所に許可申請書類を提出しているイメージを思い浮かべれば、その動作主が自分であることがわかりますね。「許可申請」の「請」の字は「許可」と一緒に使われる。許可をされるのは自分自身なので、もう一方の「乞う」は相手への依頼であることが導かれる。「請う」と「乞う」の両方の意味を覚えずとも区別することができるというわけです。
辞書では「請う」は許しを願い、「乞う」は頼みねだる気持ちがより強いという風に書かれていることが多いようですが、動作主を想像することが請うと乞うを区別しやすくなると理解しておけば、使い分けで迷うことはなくなるのではないでしょうか。
《参考情報》「ご教授ください」と「ご教示ください」の違いについて
「教えを乞う」という表現からの関連情報として「ご教授ください」と「ご教示ください」の違いについてまとめてみました。
「ご教授ください」と「ご教示ください」の意味の違いと使い分け ~何を教えてもらうのか | コトバノ参考にしていただければ幸いです。