「料金」と「代金」の意味の違いと使い分け ~「この車の料金は」という言い方は誤り
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140文字で変わる表現力 使い分け, 料金と代金, 誤用
「料金」と「代金」、「~料」と「~代」という言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。その使い分けと、迷わず区別できる方法についてまとめてみます。
「料金」と「代金」の使い分け ~カタチがあるかどうかが見分けるポイント
料金と代金の意味の違い、使い分けを区別する簡単な方法はカタチがあるかどうかで考えるとわかりやすいでしょう。
料金とは、物やサービスの利用に対して払うお金のこと。
代金とは、個々の商品に対して払うお金のこと。
料金とは、サービス(カタチがないもの)の利用に対して払うお金のことで、代金とは、お金と引き換えに商品(カタチがあるもの)をもらえるときに払うお金のことを言います。
お金を払うお客さんの立場で考えてみましょう。インターネットの利用に支払う「プロバイダ料金」は、ネット接続というサービスを受けることはできますが、インターネットという形そのものを受け取ることはできません。一方、「食事代」は、食べ物や飲み物を実際に口にすることができます。「この車のレンタル料金は」と書けば、車を利用することはできますが、決められた期限までに車そのものは返却しなければいけません。「この車の購入代金は」と書けば、その車自体の所有権が移転することがわかります。
「料」と「代」、両方使える場合もあるけれど
「水道代と水道料」「電気代と電気料」という風にどちらでも使う場合もあります。
これは水道や電気といった公共的に提供されるものがサービスでもありモノでもあるという性質があるからですが、公共が提供する(=サービス)であることを考えれば「料金」を使うのが本来であると言えるでしょう。明鏡国語辞典第2版によれば、料金と代金の違いについて以下の通りまとめられています。
主に設定する立場から公共的な物にいう「料金」に対し、「代金」は払う立場から個々の物についていう傾向が強い。
「料」と「代」は名詞につくと「代」が使われることが多くなります。電話代、電車代、ガス代などはその一例ですね。ただ、これはあくまでも語法としてそのような使われ方が多いという話。「料金」と「代金」の使い分けはカタチがあるかどうかで区別すると覚えておけばいいですね。
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