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「恐れ入りますが」と「差し支えなければ」の意味の違いと使い分け ~クッション言葉とは

相手に何かを依頼するとき「恐れ入りますが(おそれいりますが)」「差し支えなければ(さしつかえなければ)」という言葉を用います。「恐れ入りますが」と「差し支えなければ」の使い分けについて整理しておきましょう。

「恐れ入りますが」と「差し支えなければ」の使い分け

shakehands

「恐れ入りますが」「差し支えなければ」という言葉は、直接何かをお願いするよりも印象を柔らかくする効果があります。

「恐れ入りますが」は、相手にある程度の強制力がある。
「差し支えなければ」は、相手は断ってもいい。

「恐れ入りますが」はへりくだった表現ですが、実際は相手にある程度の強制をしています。一方、「差し支えなければ」の場合は相手は断ってもかまいません

たとえば「恐れ入りますが、こちらではお煙草をご遠慮願っております」という表現。これは「ここでは煙草を吸うな」という禁止の意味を「恐れ入りますが」というクッション言葉を用いることで相手の気分を害さないようにお願いしています。また「差し支えなければ、アンケートにご記入くださいませんか」という表現の場合は、相手にYESとNOの選択の余地を与えていることがわかりますね。

依頼する相手に断る権利があるかどうかが「恐れ入りますが」「差し支えなければ」を使い分けるポイントであると言えるでしょう。

クッション言葉とは何か

「やってくれ」「お断りします」「それは違うと思います」など、依頼や断り、相手の意見に対して異を唱える場合にストレートすぎる表現は相手に不愉快な感情を抱かせてしまうことがあります。

クッション言葉とは相手の立場を重んじて心遣いを示すソフトな表現のこと。上手に使うことで、相手との信頼関係をより強化していくことができます。

クッション言葉の例:

恐れ入りますが
差し支えなければ
あいにくですが
今よろしいですか?
失礼ですが
お手数をおかけしますが
早速ですが
せっかくですが
申し上げにくいのですが
もしよろしければ
ご迷惑をおかけしますが
申し訳ございませんが
できましたら

クッション言葉は、お互いがその言葉の行間にある意図を理解できるという前提で用いるもの。これらの表現のニュアンスを相手が理解していない場合に使っても意味がありません、また、使いすぎてしまうこともかえって嫌味になってしまう可能性があります。

相手との円滑なコミュニケーション、信頼関係の強化のために用いるクッション言葉であるにも関わらず、「本音の見えない人だなぁ」と相手にマイナスの印象を与えてしまっては本末転倒。マニュアル的にこれらの言葉を使うのではなく、相手の気持ちを不快にさせないという優しさの延長にクッション言葉を用いるようでありたいですね。


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