「したり顔」「どや顔」の意味と誤用について ~したり顔=知ったかぶりではなかった本当の意味
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最終更新日:2014/02/23
140文字で変わる表現力 したり顔, どや顔, 誤用
「したり顔で彼は知識をひけらかしてばかりいる」というように「したり顔=知ったかぶり・よく知っている」という意味で使われているのを見かけますがこれは誤用。「知った顔」と混同しやすい「したり顔」の意味についてまとめてみます。
「したり顔」の正しい意味 ~したり顔によく知っているという意味はない
したり顔の「したり」は、音の響きから「知る」という動詞が変化したような印象を受けますが、「したり」と「知る」には何の関係もありません。
したり顔の「したり」は
為たり(したり)と書く→為した、成功したという意味
したり顔の「したり」は成功した、やりとげたという意味の「為たり」と書く。つまり、「したり顔」とは何かを成し遂げて得意な顔をしていることを表します。知っているという状態を表すのではなく、してやったりという喜びに満ちたときの表情のことですね。
文例としては「彼は仕事を成功させて、これまでの苦労をしたり顔で話した」「念願だった資格試験に合格した彼女はしたり顔だ」などになります。
したり顔=どや顔?
「どや?」とは「どうだ?」と相手に何かをたずねるときの「どう?」という表現を関西弁で表したもの。その「どや」と「顔」が一緒になって「どや顔」という言葉が一般化しつつあります。このときの「どや顔」も得意になった様子を表していますので、「したり顔」と「どや顔」はほぼ同じ意味であると考えて良いでしょう。
「したり顔の本当の意味をしたり顔で話す」という書き方をしてしまうと、誤った言葉の使い方になってしまうのはここまでの説明でご理解いただけたのではないかと思います。したり顔には知っているという意味はないということ。この機会にしっかり覚えておいてくださいね。
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