*

「うだる」ような暑さとは? ~蝉の鳴く温度と松尾芭蕉の句と

公開日: : 最終更新日:2018/07/02 140文字で変わる表現力 , ,

蝉!

蝉!

涼しくなれば蝉が鳴かないのは想像がつきますが、猛暑日のような35℃以上の暑さでも蝉の鳴き声は減るのだとか。公園に行ってそれを確かめてみたくもなりますが、その時の暑さはあらゆる行動を躊躇させるもの。試す元気が欲しいなぁと思いつつ、毎日冷たいものばかりに手が伸びる今日この頃です。

「うだる」とはどんな暑さのことか

「今日はうだるような暑さですね」という表現があります。「うだる」という言葉もiPhoneやパソコンで変換してみると、その意味(雰囲気)を理解することが出来ますね。

「うだる」とは、「茹だる(ゆだる)」の音が転じたもの
湯で十分に熱せられた状態、暑さで身体がぐったりした様子

茹でられたような熱さ、だからうだる暑さと書いて表現したのですね。からっとしていて風のあるときは気持ちいいのですが、それこそ「蒸す」ような暑さのときは、全身に纏わり付く不快感が何ともいえません。うだる暑さ、まだまだ続きそう・・・ どうぞ皆さんもご自愛くださいますように。

閑さや岩にしみ入る蝉の声 松尾芭蕉

松尾芭蕉の代表的な作品の一つとして紹介されることの多い閑さや岩にしみ入る蝉の声という俳句。この句で詠まれた蝉は、アブラゼミだったのかニイニイゼミだったのかという論争が斎藤茂吉らによって行われたことがあるそうです。

1926年、歌人の斎藤茂吉はこの句に出てくる蝉についてアブラゼミであると断定し、雑誌『改造』の9月号[1]に書いた「童馬山房漫筆」に発表した。これをきっかけに蝉の種類についての文学論争が起こった。1927年、岩波書店の岩波茂雄は、この件について議論すべく、神田にある小料理屋「末花」にて一席を設け、茂吉をはじめ安倍能成、小宮豊隆、中勘助、河野与一、茅野蕭々、野上豊一郎といった文人を集めた。
アブラゼミと主張する茂吉に対し、小宮は「閑さ、岩にしみ入るという語はアブラゼミに合わないこと」、「元禄2年5月末は太陽暦に直すと7月上旬となり、アブラゼミはまだ鳴いていないこと」を理由にこの蝉はニイニイゼミであると主張し、大きく対立した。この詳細は1929年の『河北新報』に寄稿されたが、科学的問題も孕んでいたため決着はつかず、持越しとなったが、その後茂吉は実地調査などの結果をもとに1932年6月、誤りを認め、芭蕉が詠んだ詩の蝉はニイニイゼミであったと結論付けた。
ちなみに7月上旬というこの時期、山形に出る可能性のある蝉としては、エゾハルゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、アブラゼミがいる。

引用元:閑さや岩にしみ入る蝉の声 – Wikipedia

歌人である斎藤茂吉が、自ら現地調査をしたという話も面白いですよね。文学や文化、歴史はその地を訪れて体感するとまた味わい深くなります。

歴史が灯る 山寺 芭蕉の風景に会いに行こう 山寺観光協会

この句が詠まれたのは山形県にある立石寺。50年に1度の薬師如来のご開帳も行われているそうですので、この夏、芭蕉の歩いた風景に会いに行ってみるのもいいかもしれませんね。

夏日と真夏日、猛暑日と酷暑日、熱帯夜の定義と違いについて

夏の話題ということで「夏日と真夏日、猛暑日と酷暑日、熱帯夜の定義と違いについて」も紹介しておきますね。

(2018/7/1追記)


▼関連の深いこちらの記事もどうぞ▼

関連記事

暑中見舞いや年賀状に句読点があってはならない理由と、一文字下げをしてはならない理由について

賞状や証書の類を見ていると、その文面に句読点のないことに気がつきます。また、段落の最初が一文字空いて

記事を読む

no image

ラーメン屋さんの入口で、僕の背後霊を数えられたら。

病院にて。 「さ、今日はどこ診察させてもらいまひょかー?」と、言われるのと、 「お、顔色悪

記事を読む

「圧巻」の誤用と「圧倒」との違いについて ~「演技は圧巻だ」という表現は正しいのか?

「あべのハルカスの高層階からの眺めは圧巻だ」「フィギュアスケートのA選手の演技は圧巻だった」という表

記事を読む

こだわりのあるお店に行ってはいけないその理由! ~こだわりのないお店の方がいい!?

こだわりのある紅茶!こだわりのない紅茶![/caption] 神戸の西区にある、紅茶専門店ア

記事を読む

事故や事件の災害に「周年」という言葉の使い方は誤りか ~「周年」と「年目」の使い分け

結婚5周年や開店10周年など、慶事に使われる印象の多い「周年」という言葉。「周年」を事故や事件の災害

記事を読む

「時」と「とき」の使い分け ~困ったときに思い出したいその区別

時のまち、明石からお届けしているコトバノ。 明石市を通る東経135度の経度が日本標準時

記事を読む

「打ち合わせ」とは雅楽に由来する言葉だった!

太鼓[/caption] 打ち合わせとは、物事がうまく進むよう事前に相談をすることですが、実

記事を読む

百冊の教科書に書かれている正論よりも、「しんどかったね」のたった一言が心を溶かすこともある。

「言ってることは正しいと思うんだけど、なんか、疲れるんだよね」と評されてしまう人がいます。 ど

記事を読む

「少しずつ」と「少しづつ」ではどちらの書き方が正解で誤りか ~「ずつ」と「づつ」の違い

「少しずつ」「少しづつ」や「一人ずつ」「一人づつ」など、「ずつ」と「づつ」についてはどちらの書き方も

記事を読む

no image

one of 複数形になってしまった、僕が見えていますか。

「売り」に走ったら、見透かされると思うのです。 twitterやfacebookで多数の人を対象と

記事を読む

Google


▼よく読まれている記事▼


kokkaigijidou
更迭(こうてつ)、解任、辞任の意味の違いと使い分けについて ~クビにするのはどの言葉?

たとえば大臣が不祥事を起こしたりすると、「首相はA大臣を更迭(こうて

「老舗(しにせ)」という言葉の意味と由来を紹介します

代々続いているお店のことを「老舗(しにせ)」と言いますが、今回はこの

kaifuku
「回復」と「快復」の意味の違いと使い分け ~快復と書いてしまうと誤用になってしまうのか

この記事を書いている今、実は頸椎間板ヘルニアで苦しんでいて、リハビリに

bankokuki
「万端」と「万全」の意味の違いと使い分け、誤用について ~「準備万端」と「準備万全」、正しいのはどっち?

「旅の用意は全部できたよ、さぁ出発しよう!」 このように、あらゆ

tenteki
「お休みさせてください」「お電話します」の「お」は必要かどうか、誤用ではないか、敬語として適切かどうか考えてみよう

欠勤の連絡をするときなど、「お休みさせてください」「お休みさせていただ

→もっと見る

PAGE TOP ↑