豹変するという言葉に悪い意味はなかった! ~送り狼とは何か?
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140文字で変わる表現力 誤用, 豹変, 送り狼
太陽に焦げていたアスファルトがひとやすみ。忙しそうに行き交う人たちも、みな、軒先で雨宿りをして。
毎日暑い日が続きますが、夕立の与えてくれる束の間が大好きです。ひととき、休んで、雨で洗われた町に、各々が戻っていく。空の変化は表情の変化。今日は変化は変化でも「豹変」という言葉の変化について考えてみたいと思います。
「豹変する」のはいいことだった!
「最初はとてもいい人だったのに、豹変してしまった。やっぱり環境の変化がそうさせるんだろうねぇ」という風に使われることの多い「豹変」という言葉。良かったものが悪くなるという意味で使われることが一般的ですが、元々の意味は違いました。
君子豹変とは
君子が過ちを改めるときは、豹の毛が鮮やかに生え変わるように速やかに改めること
学があり人格の優れた人物のことを「君子」といいます。教養の豊かな人は過ちに気付けばすぐにそれを改めるというのが元々の意味。
豹という動物のどう猛なイメージが悪い方向に転ずることを連想させるのかもしれませんが、悪いことに気付いて良い方向へと改めるというプラスの意味合いを持つ言葉であることを知っておきたいですね。ただし、現代では誤用例のような使われ方がほとんど。誤解に繋がる可能性のある言葉ですので、本来の意味で使われているのか誤用されているのか、会話の流れのなかで感じ取りたいところです。
送り狼に豹変するという言葉も実は
女性を送ると見せかけて急に襲いかかる男性。まさに「彼は送り狼に豹変した」と使われることが多いのですが、「送り狼」という言葉は、山の神様の使いとも妖怪ともされていて、「ひとの後ろについて、その人を守りながら送る犬(狼)のことである」という説があります。地域や伝承によって諸説あるのですが、由来だけをみていると悪い言葉ではないということがわかりますね。
ただし、いま発行されているほとんどの辞書では送り狼とは親切を装って女性を送っていき、途中ですきがあれば乱暴を働こうとする危険な男のこととしています。由来にある送り狼の意味を知ったからとはいえ、どうか、女性には油断されることのないようお願いしておきたいと思います。
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