商売が繁盛して、お客さんがたくさん来店される時期のことを「かきいれ時」と言います。この「かきいれ時」という言葉は漢字で書くとどうなるでしょうか。
「かきいれ時」を漢字で書くと「書き入れ時」となる
商売が忙しくなる時期の「かきいれ時」は「書き入れ時」と書くのが正解。酉の市で売られる熊手のイメージがあって、お客さんを「掻き込む(かきこむ)」ようなイメージがありますが誤りです。
商売繁盛の「かきいれ時」は漢字で「書き入れ時」と書く。「掻き入れ時」と書くのは誤り
商売が繁盛すると、その売上や仕入れなどを帳簿に記録する作業も忙しくなります。そう、「書き入れ時」の語源は帳簿にあれやこれやと数字を書き込む様子から来ています。熊手で掻き込むのではなく、書き入れていくのが忙しい。いまは経理作業もコンピュータでするところがほとんどですが、商売人たちはかつて、すべてを手書きで行っていました。
江戸時代の商売人たちが使っていた帳簿のことを「大福帳」と呼んだ
江戸時代から明治時代にかけて、商売人たちは売掛金を「大福帳(だいふくちょう)」と呼ばれる帳簿に記録していました。どんなお客さんに何がどれだけ売れたのか、当時は現金取引ではなく掛取引が基本でしたので、商売をしていくうえでもっとも大切だったのがこの大福帳であったといわれています。
大福帳には保存性に優れた西ノ内紙(にしのうちし)という上質な和紙が利用されていました。1890年に日本で初めて行われた衆議院選挙では、この西ノ内紙(にしのうちし)は選挙用紙としても使用されたほど。西洋紙の普及に伴って、西ノ内紙(にしのうちし)はその後衰退の憂き目を見ることとなりますが、文化庁長官によって記録作成等の措置を講ずべき無形文化財として指定されています。
紙のさと和紙資料館|常陸大宮市|うぃーくえんど茨城西ノ内紙の歴史を学び、実際に紙すき体験のできる「紙のさと和紙資料館」が茨城県にありますので参考までに。