涼しくなれば蝉が鳴かないのは想像がつきますが、猛暑日のような35℃以上の暑さでも蝉の鳴き声は減るのだとか。公園に行ってそれを確かめてみたくもなりますが、その時の暑さはあらゆる行動を躊躇させるもの。試す元気が欲しいなぁと思いつつ、毎日冷たいものばかりに手が伸びる今日この頃です。
「うだる」とはどんな暑さのことか
「今日はうだるような暑さですね」という表現があります。「うだる」という言葉もiPhoneやパソコンで変換してみると、その意味(雰囲気)を理解することが出来ますね。
「うだる」とは、「茹だる(ゆだる)」の音が転じたもの
湯で十分に熱せられた状態、暑さで身体がぐったりした様子
茹でられたような熱さ、だからうだる暑さと書いて表現したのですね。からっとしていて風のあるときは気持ちいいのですが、それこそ「蒸す」ような暑さのときは、全身に纏わり付く不快感が何ともいえません。うだる暑さ、まだまだ続きそう・・・ どうぞ皆さんもご自愛くださいますように。
閑さや岩にしみ入る蝉の声 松尾芭蕉
松尾芭蕉の代表的な作品の一つとして紹介されることの多い閑さや岩にしみ入る蝉の声という俳句。この句で詠まれた蝉は、アブラゼミだったのかニイニイゼミだったのかという論争が斎藤茂吉らによって行われたことがあるそうです。
1926年、歌人の斎藤茂吉はこの句に出てくる蝉についてアブラゼミであると断定し、雑誌『改造』の9月号に書いた「童馬山房漫筆」に発表した。これをきっかけに蝉の種類についての文学論争が起こった。1927年、岩波書店の岩波茂雄は、この件について議論すべく、神田にある小料理屋「末花」にて一席を設け、茂吉をはじめ安倍能成、小宮豊隆、中勘助、河野与一、茅野蕭々、野上豊一郎といった文人を集めた。
アブラゼミと主張する茂吉に対し、小宮は「閑さ、岩にしみ入るという語はアブラゼミに合わないこと」、「元禄2年5月末は太陽暦に直すと7月上旬となり、アブラゼミはまだ鳴いていないこと」を理由にこの蝉はニイニイゼミであると主張し、大きく対立した。この詳細は1929年の『河北新報』に寄稿されたが、科学的問題も孕んでいたため決着はつかず、持越しとなったが、その後茂吉は実地調査などの結果をもとに1932年6月、誤りを認め、芭蕉が詠んだ詩の蝉はニイニイゼミであったと結論付けた。
ちなみに7月上旬というこの時期、山形に出る可能性のある蝉としては、エゾハルゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、アブラゼミがいる。
歌人である斎藤茂吉が、自ら現地調査をしたという話も面白いですよね。文学や文化、歴史はその地を訪れて体感するとまた味わい深くなります。
歴史が灯る 山寺 芭蕉の風景に会いに行こう 山寺観光協会この句が詠まれたのは山形県にある立石寺。50年に1度の薬師如来のご開帳も行われているそうですので、この夏、芭蕉の歩いた風景に会いに行ってみるのもいいかもしれませんね。
夏日と真夏日、猛暑日と酷暑日、熱帯夜の定義と違いについて
夏日と真夏日、猛暑日と酷暑日、熱帯夜の定義と違いについて
夏日と真夏日、猛暑日と酷暑日、熱帯夜の定義と違いについて紹介しています。あわせて「ご自愛ください」という表現や、暑中見舞い、残暑見舞いを送る時期、それぞれの手紙に句読点は用いない方がいい理由について解説しています。
夏の話題ということで「夏日と真夏日、猛暑日と酷暑日、熱帯夜の定義と違いについて」も紹介しておきますね。
(2018/7/1追記)