「共に」「供に」「ともに」という表記は、それぞれどのように区別して使い分けをしたらいいのか。整理してみましょう。
「共に」と「供に」はどう違うのか ~「子供」と「子ども」の書き方について
「供に」という字は「共に」という字の当て字になります。「供に」は人偏(にんべん)を使うことでひとと一緒であるさまを強調していますが、「供に」という漢字しか使えない状況というのはありません。
「供に」は「共に」の当て字
「供に」が使える場面ではすべて「共に」を使うことができる
「供える」という意味のある「供」は、人によっては「子供」と書くことを「子を供えるとはなにごとか」と神経質に気にされる方もいます。表記にこだわりすぎて言葉狩りになってしまうのも良い傾向だとは思いませんが、少なからず、このような懸念があるうちは「子ども」と書いておくほうが無難かもしれませんね。
「共に」と「ともに」はどう使い分けるのか
では次に「共に」と漢字で書く場合と「ともに」と平仮名で書く場合の使い分けについて整理してみます。
「共に」と漢字で書く場合は「一緒に」の意味のときに使う
「ともに」と平仮名で書く場合は「同時に(=あわせて)」の意味のときに使う
「共に」と漢字で書くのは「一緒に」の意味のとき。
たとえば「同じ学舎で共に学んだ」「苦労を共にした」「喜怒哀楽を共にした仲間」と、ひとがひとの横にいて一緒に同じ状態にある・同じことをしているときに「共に」を用います。
一方「ともに」と平仮名で書くのは「同時に」の意味のとき。
「当店のご愛顧に心より感謝申し上げますとともに今後とも何とぞお引き立ての程宜しくお願い申し上げます」と、AだけでなくBも同時に(あわせて)という意味のときは平仮名を用います。「共に」と「ともに」の使い分けで迷ったら、A and Bの形で意味が表される場合は「ともに」の平仮名を用いると覚えておけば間違いないですね。
「ともに」が言葉のお尻につくときは注意が必要
「親子ともにお世話になりました」という言葉を考えると、これはひととひとが並んでいるようなイメージになりますね。上のまとめ方によると「共に」が用いられそうな気もしますが、「家族4人とも」や「公私ともに」など、単語の後ろについて「すべて(ALL)」の意味を表すときは平仮名で書くことがルールになっています。
少しややこしいですが、それぞれの使われる場所・意味のイメージをしっかり掴んでおけば、使い分けに迷ったときに思い出しやすくなると思います。
「一緒に」であれば「共に」、「同時に」であれば「ともに」、そして名詞のお尻につくときも「ともに」であるということは、「共に」が漢字で用いられる場面だけをしっかり覚えておけば、それ以外はすべて平仮名の「ともに」を用いて大丈夫という考え方ができますね。
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